営業のコツは値段ではなくストーリーで売る。
営業の仕事に就くことは決めていた。
だから、あとは自分が相手に自社商品を語れるかどうか。
売るものに対して“心底惚れ込めるかどうか”ということ。
それが企業選びのポイントだった。
営業がやりたい!という方はいらっしゃいますが、「何を売るか」で悩む人も多いようです。
そんなときは、扱う商材で考えてみるのはいかがでしょうか。
この方の場合、基準にしたのは以下の2点でした。
- オンリーワンのものづくりをしていること。
- 自分が好きだと思える商品を扱っていること。
オンリーワンの商材を扱うことで価格競争から脱却。
1つめは「そこにしかないものを作っている会社であること」でした。
他社も同じようなものを作っていると、結局価格競争に飲まれてしまいます。
お客様に「A社は○円だったから、安くしてよ」と言われてしまうわけです。
それでは価格の安い方が選ばれるだけ。
「値段勝負だと仕事に価値を見出せないと思ったから」とも言われました。
その商材を自分も愛着を持つことができるかが大切。
2つめは、その会社が売る物自体に「自分が惚れ込むことができる」でした。
自分があまり好きではないものはお客様に真心もって販売することはできない。
やはり自分が責任をもって心からお勧めできるものでなければ、というのです。
この2つがあるから、お客様に対しても自信を持って提案できると話してくれました。
売るための多様なアプローチを考えるのも醍醐味。
営業の使命は売ることですが、販売だけが仕事ではありません。
お客様がどうやったら導入しやすいか考えたり、商品とお客様の持っているものや世界観にコーディネートして新しい魅力を引き出すなど、さまざまな“提案”が求められます。
また、会社の規模によっては担当者の一存では決められないことが多々あります。
そういった場合、担当者の立場に立って考えてみるというのです。
たとえば、社内稟議が通りやすいように必要な資料を集めたり、補助金を使って導入するやり方を提案したり、お店の図面に商品を組み込んで導入後のイメージを与えるなど、担当者の味方になって、導入してもらえるように働きかけているそう。
「いりませんか?」「買ってください」では売れません。
商品の魅力をいかにして伝えるか、相手企業のメリットまで考えて提案することも営業にとっては大切な仕事なのです。
作り手の思いを届けられるのはメーカー営業だからこそ。
自社一貫製造のメーカーだからこそ、作り手(実際に家具を製造している人)の思いをしっかり語ることができるというのも印象的でした。
「私の場合、インテリアが好きで、自社商品も好きということから飛び込んだ家具メーカー。
だから、商談に行くのもお客様の世界観を一緒に作ることができる楽しみがありますし、
自社で製造していることで、作っている人の思いも届けることができるのは強みだと思っています。
弊社の製造はこういうところを意識して作っています。こういう思いで作っています。というストーリーが付加価値になっているんです。
“値段ではなく、ストーリーで販売する”それが私のスタイルになりました」。
付加価値への共感は、会社への信頼でもある。
確かに自分のことを考えてみると、ブランドのコンセプトやストーリーに惹かれて買うことがある。
会社が事業を通じて世の中にどう貢献しているのか、どういうビジョンを掲げているのかを見聞きして、素敵だなと思ったら、商品もさらに魅力的に見えてくる、という経験があります。
最近では売り上げの一部を必要なところに寄付するチャリティ事業も増えてきましたね。
物が作られるまでの過程にはたくさんの人が関わっており、たくさんの思いが宿っている。自社一貫製造というのは、それだけで有利なんですね。
そのストーリーを語るのはお客様と接する営業の仕事。付加価値を味方につけて、たくさんの方に共感を得ていくこと。それは物が売れると同時に会社の価値も買われていることなのかもしれません。
まとめ
- 営業するなら、自分が信頼できる商品を扱う
- 業界にこだわるよりも、オンリーワンの事業をしているところで勝負する
- 自社一貫製造だと作り手の思いに触れることができる
- 作る人の思いをストーリーにして付加価値をつけられる
- 営業の仕事はお客様に向けて自社をブランディングしていくこと