建設業の今後は。大切なのは人間性。
建設業の仕事は、まちづくりです。私は常々社員に言います。
「いいものを作れるのは、いい人でしかない」と。
この言葉は、インタビュー中、ある建設業の社長がおっしゃったことです。
道路や橋を作るのに、人の良し悪しがどこまで影響するのだろうと思いましたが、聞いてみて納得しました。今は若手が建設業には少ないと言われています。でも、労働環境の整備が進んでいますし、手がけた仕事が町並みになり、地域の人に喜ばれる仕事です。
建設業の3Kはいまや新3Kに。
建設業や土木業といえば、3Kと言われていた時代がありました。
- キツイ
- 危険
- 汚い
ところが、現在は国土交通省から建設業界の働き方改革が推進され、3Kを「新3K」に変えるための取り組みが進められていることをご存知でしたか?
その、新3Kとは
- 給与
- 休暇
- 希望
そんなこと、実現できるの?と眉唾物の人もいるかもしれません。
でも、実際に取材をしていると、「2024年問題」とともに整備されていることを知ります。
2024年問題とは2024年4月までに建設業が是正しなければならない労働環境課題です。
建設業界では慢性的な人手不足や高齢化による人口減少など大きな課題を抱えています。これらの課題を解消するために国が打ち出した施策です。
実際、建設関係の取材をしていると、この会社だけでなく、さまざまな会社がこの2024年を意識しています。
建設業にも押し寄せるITの波。
2024年問題と切り離せないのがDXやIOT。かなり重要なポイントとなっています。
冒頭の社長も取材中何度もDX推進というキーワードが出ました。
例えばドローンを使用した3D化。
これまで建設業では平面図のみでやりとりが行われていましたが、3D化することにより意思疎通がスムーズになったそう。
- 住民への説明や工事業者への説明の際にとても重宝している。
(平面図を見慣れない人にも一目瞭然) - 工事前に課題を発見できる。
(立体でチェックできるので課題が見える化される)
2点目の課題を発見ということは興味深かったですね。
これまで平面図だとやってみないとわからなかったのが、3D化してみると物理的に不可能なことが工事前の段階でわかるというのです。先に課題を見つけておくことで改善策を立てることができますし、工事がスムーズに流れるようになったそうです。
ほかにもダブレットで現場の状況や発注状況を一斉に社員が共有できる、などもなるほどなと思いました。時短になって社員も喜んでいるとのこと。建設現場にもITが広がっていることを実感しました。
DXで新たなコミュニケーションが生まれる。
DXやITはどうしても若手向けで、年配の人は不得手な印象があります。
確かに、それは否めない部分もありますが、若手とベテランの異なる強みを活かしたコミュニケーションという副産物も生まれたそうです。
たとえばこんなふうに。
ITに抵抗のない若手が3D化のプログラムを行って模型を作ります。それをベテラン社員がチェックして、課題を洗い出し、工事の手法を考えるきっかけにしていました。
つまり、若手はITが得意だが、経験値は少ない。ベテランはITが苦手だが、経験値が豊富。この凸凹を補うには両者の強みが必要だったのです。
DXによって、事前に精査する機会が生まれたことは社員間のコミュニケーションの創出ともなったのだとか。
IT、DXというと時短やスピード、効率化ばかりに目が行きますが、世代間のコミュニケーションという大きなメリットも生まれたというのは目から鱗でした。
まちをより良く。地域を想う気持ちが大切。
この建設会社は、道路、河川、治山、災害復旧工事を行っているため、仕事の大半は公共工事で、地域に密着した仕事をしています。
「地域密着」はもう使い古された言葉ですが、この言葉の本質には地域のためにやっていく覚悟のようなものが必要なのだと思いました。
社長は私にこう言いました。
「“地域”って顔がないでしょ。だからよくない。でも○○さんだと顔がわかりますよね。地域をリアリティのあるものにしていくには、地域との接点を増やしてリアリティのあるものにしていかなくちゃいけないと思っています。だから、当社はボランティア活動を通じて地域の人と接点をもつようにしています。河川が氾濫してしまったら○○さんの家が流されてしまう、橋がなくなったら○○さんの家は孤立してしまう。こんなふうに、誰かの顔を思い浮かべながら仕事をすることが何より大切なんですよ」
そういう気持ちで取り組むことが、いい仕事につながるのだと教えてくれました。
そして、その積み重ねが身を結び、新しい公共工事の挨拶回りに行ったときに、「おたくの会社がやるなら心配していないから」と住民に言われたのだとか。
ほかにも、工事中に地元住民の方から「ありがとうね」と言ってくれることも多々あるそうです。
建設業は、大きな重機を使い、橋や道路など大きなものを作っていますが、仕事の根幹には小さな気配りなど人を思いやる気持ちが欠かせないなのだと教わりました。
誰かを思いながら仕事をし、感謝され、地域がよりよくなっていく建設の仕事。その最前線で働く人たちのかっこよさを垣間見ました。
建設業界の今後はどうなる?
先にも書きましたが、働き方改革の一環で建設業では2024年までに時間の上限や月60時間を超える場合の時間外割増賃金率の引き上げなど、人件費の上昇が見込まれています。
働く環境は整ってきているのです。
また、暮らしに欠かせないインフラや住まいを守るためにもなくてはならない仕事です。
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